2007年3月5日月曜日

教員養成大学がただになる

 今日から始まる中国の国会にあたる人民代表大会で、温家宝首相が教員養成大学(師範大学)の学費を免除する方針を打ち出した。


 背後にある原因はいうまでもなく教員の不足と質の降下だ。


 中国の教員養成大学はもともと学費が低くて、教育の質もよい。さらに慢性的な教員不足のため就職も非常にいい。そのため、学生を集めるのにさほど苦労しなかったが、問題はその卒業生の他業界への流出だ。


 いままでは学費が低いとはいえ、ほかの大学との実質的な違いが小さく、そのためか、卒業生の教員以外の一般的な就職に対する制限もほとんどなかった。結局学生を確保できても必要数の教員を確保できなかったりするのだ。


 今回の方針は学費の免除と注目されるが、おそらく具体的な政策として実行されるときは、卒業直後の進路についての制限も設けるだろう。


 この政策が実行されると、収入の少ない農村部の学生が多く教員養成大学に入るようになる。そして、高収入の都市部の学生と違って、農村部の学生が割りと教員の職で満足しやすいので、教員確保の問題が比較的短期間で解決できるかもしれない。これが今回の政策の狙いだ。


 日本のように免許制度で、誰でも試験をクリアすれば教員になれるのは教員数を確保する有効な手段だと思う。しかし、中国の4年間の教育学の専門教育を受けさせてから初めて教員になれるという制度は、教員の質の確保という視点から考えて、現時点では必要不可欠だ。


 バランスの取れた制度の確立まではまだ時間かかりそうだ。



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