2005年12月3日土曜日

一人っ子政策その2

 昨日に続いて一人っ子政策の話題を書く。今日は一人っ子の性格と教育について書く。
 一人っ子はみんなたくさんのおじおばがいる。一つ上の世代はベビーブームだから。一人っ子たちが生まれて、家族内では兄弟がいない。そのため、従兄弟が兄弟の代わりになる。中国の一人っ子にとって、従兄弟が「身内の同年代」なので、日本の兄弟に対する感覚に近いものを持っている。またそれは完全に同じでもない。従兄弟はあくまでも別家族の子供だから。
 他に兄弟の役割を果たしてくれるのは近所の子供たち。おじおば家族が近くで住んでいるとは限らないから、従兄弟といつも遊べるとは限らない。むしろ近所の友達とはいつも遊んでいる。その友達との友情が一生のものになっていく。
 このように一人っ子たちはいつも「他人の子供」と付き合い、成長している。

 家庭内部の状況としては、「一人の子供に、二人の親、四人の祖父母、たくさんのおじおば」と言うものなのだ。まさに社会の人口構造の反映。そして一部の家庭では親の兄弟がそんなにいないと、祖父母にとっての孫は非常に少ないなのである。
 そのため、一人っ子に対する親、祖父母の寵愛が度が過ぎることが多い。一人っ子が家族内では「小皇帝」で、一番地位が高い現象も多かった。好きなことをやり、好きなものを買い、自分の考えで動く。
 このように育った一人っ子はみんな多少自己中心的な部分がある。そして、どちらかと言えば人との付き合いは苦手ではない。
 さらに一人っ子は大きく二つのタイプに分かれる。一つは「わがまま甘えん坊タイプ」、もう一つは「独立志向タイプ」。
 この2タイプは基本的には家庭の状況と親の教育方針で決まる。一般的には小さいごろ家庭の経済状況は特に富裕ではない平均や平均以下の子供は独立志向タイプが多く、家庭が平均や平均以上の子供は「わがまま甘えん坊」が多い。
 どのタイプでも教育のレベルはさほど変わらないし、頭のよさも変わらない。なので、勉強ができるかできないかはタイプとは関係ない。しかし、生活態度や人生観はタイプよって違うため、勉強以外の面で見るとちゃんとしている子供は「独立志向タイプ」が多い。
 わがまま甘えん坊タイプは自分の好きなように生きてきた。というよりも何もかもを親に自分の好きなようにしてもらっているから、状況適応能力が低い。友達付き合いでトラブルしやすいし、学校生活で何かがあればすぐ親に助けを求めてしまう。このタイプの親が考えていることは大体「大学生になったら自分でできるようになるから、それまではやってあげよう」的なのが多い。そして実際には大学生になってもやはりできない。中国の大学は全寮制なので、四六時中クラスメートたちと衣装に生活するから、状況適応のできない大学生たちはいろんな問題を起こしている。
 一番問題になっているのは大学生の心理的問題と自殺。中国去年一年間の大学生自殺数は何十人もいると言われている。その中でメディアに報道されたのは十数人。その中、大学に入学して1ヶ月で寮の建物から飛び降り自殺をしてしまう学生もいた。調査によると理由は「大学の寮生活と食堂の食事に慣れない」だった。
 このようなだめだめな学生がいる一方で、独立志向のタイプの学生はとてもしっかりしていて、各方面で目立っている。その中で勉強もできる学生たちはいわゆる「優秀な学生」で、スターになっている。
 このタイプの一人っ子は自分の将来についてよく考える。そして、将来「夫婦二人で子供一人と親四人を養わなければならない」とわかり、将来のために頑張る人が多い。そのため、社会に対する理解度も高い。
 このタイプの一人っ子の欠点は自分に対して自信過剰で視野が狭いところがある。社会に対して敏感に反応し、さらに自分の行動に過信して、盲目で問題を起こしてしまうのである。
 一人っ子の性格は大体以上のようなものであるが、年をとるにつれて上の世代の考えに近づいていくことが見られるという。結局上の世代の兄弟のいる人たちでも結局似たような性格を持っていたと考えられる。違うのは時代と社会の状況だけなのだ。


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2005年12月2日金曜日

一人っ子政策 30年 9000万人

 中国の一人っ子は9000万人に達したと発表された。
 1970年代からスタートした一人っ子政策が今年で30年くらい続いている、一人っ子が9000万人生まれてきた。でも実際には30歳以下の人はみんな一人っ子なわけではない。
 一人っ子政策は法律として作られ、違反する場合は罰金も課せられる。実施当初は平均年収くらいの罰金だった。それでも農村部の人々はみんな隠して二人目以降の子供を生んでいた。 罰金から逃げるために、夫婦二人が子供を連れて全国で廻りながらまた子供を生むこともあったという。

 当時の農村では労働力=収入だった。しかも女の子は結婚したら家を出てしまうから労働力は減る。男を産んだら労働力になるだけではなく、嫁さんもらったらもう一人労働力が増える。これが理由で、中国は昔から「重男軽女」だった。一人っ子政策になってからもこの思想の影響が大きく、農民たちはとにかく男の子を産もうと産もうとしていた。「男の子が生まれるまで産み続ける」という家族も少なくなかった。
 だから今の25歳以上の人は一人っ子ではないのもたくさんいる。ほとんどが農村部出身で、特に女の人なら下にまた弟か妹がいるのが多い。今の出稼ぎ沿岸部の工場で働いているワーカーたちは大体みんなそうである。
 時代の変化に伴って、農村部で二人以降を産むことがだんだん少なくなってくる。農村で労働力があまるようになったことが一つの理由で、決定的な理由は農村部の収入が物価ほどの上昇はしなかったため、農民が一人の子供を育ち、教育させるにはその子が成人してから家にもたらせる収入よりはるかに大きいからである。
 今度二人目の子供を生むようになったのは都市部の新富裕層である。二人目以降を産む時の罰金も物価の上昇ほどあがっていないから一般の市民には難しいが、富裕層にとっては払うのにそれほどの問題ではなくなってきている。そのような富裕層によって二人目が欲しければ自分から罰金を払って産んでいる。もちろんその後の教育費などの出費も覚悟している。
 今はごくわずかではあるが、そのような富裕層が増えつつある。
 ここ数年、一人っ子政策にも変化が出てきた。人口構造が逆三角形になってきているので、これ以上子供が減ると社会的に問題になってくるので、「一人っ子同士の結婚の場合なら二人まで産める」とか、「一人目が生まれてから5年が経ち、お母さんが28歳を超えていれば二人目を産んでいい」とかと省によって政策が違うが、新しい政策をどんどん作られてきている。
 「一人っ子政策」が「二人っ子以下政策」になると、今の一人っ子たちは一台だけの一人っ子になるかもしれない。そして、この一人っ子たちは20年後から中国をドライブしていくことになる。中国の性格もこれによってある程度変わるだろう。


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2005年12月1日木曜日

千手観音 中国障害者芸術団

a49858fb.jpg 中国障害者芸術団 [中国残疾人芸術団(zhong1guo2can2ji1ren2yi4shu4tuan2)]報道ステーションで紹介された
 これは全員障害者の芸術団で、その代表作は写真の『千手観音』 [(qian1shou3guan1yin1)] なのだ。今年の日本のNHK紅白歌合戦に相当するCCTV [中国中央電視台(zhong1guo2zhong1yang1dian4shi4tai2)] の春節聯歓晩会 [(chun1jie2lian2huan1wan3hui4)] で、この踊りは国中の人々を驚かせ、感動させた。
 この舞踏は聴覚障害者 [聾人(long2ren2)] の21人の女子によるもので、音楽を聞こえないが、健康な人にとっても難しいこの演目を完璧に踊っている。


senju



 彼女たちが頼っているのは繰り返しの練習によって培ってきたリズム感 [節奏感(jie2zou4gan3)] 、そして床によって伝わってくる音楽 [(yin1yue4)] の振動と舞台の端に立ってリズムを取っているコーチ [教練(jiao4lian4)] の手である。でも振動といってもわずかなものであって、コーチの手もまともには見えない。最終的には培ってきたリズム感と障害者特有の敏感さで踊っているという。
  tai視聴者の投票による選出される春節聯歓晩会の最優秀演目の投票で、『千手観音』がダントツの一位で大賞をとった。そしてそれからあらゆる番組が彼らを紹介していた。特にリーダーの邰麗華(たいれいかtai2li4hua2)さん(写真)は彼らの代表として紹介されていた。
 彼女は今年29歳で、2歳のとき病気によって聴覚を失った。障害者の小学校で、彼女のリズムに対する感覚の鋭さと踊りに対する興味を先生が気づき、彼女の踊りに対する指導を始めた。そして15歳のとき、中学生の彼女は中国障害者芸術団にスカウトされ、入団した。これは彼女のプロの舞踏家としての始まりだった。彼女は1992年にスカラ座で踊りを披露し、2000年にカネギホール、オペラ座へも出演。スカラ座とオペラ座を制した世界唯一の聴覚障害者である。
 2003年に彼女は7年間の恋愛を経て結婚した。相手は健康の人で、二人は手話でコミュニケーションをとる。そして彼女が世界各地で公演をするときは、携帯メール [短信(duan3xin4)] で連絡を取り合っているという。

 今年の10月にこの芸術団は名古屋で公演を行った。もし東京での公演があったら、ぜひ見に行きたいと思う。


 『千手観音』のビデオ(CCTVウェブサイトより、通信速度によって視聴できない可能性もある)

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2005年11月30日水曜日

セブンイレブンで使う電子マネー必要?

card[セブン&アイ]電子マネーを07年春めどに発行


 とのニュースがあった。
 まったく意味のわからない経営戦略だ。
 SuicaとEdyの競争で今電子マネーは注目を集めている。そして確かにこれらが急拡大を遂げている。他の会社が、特に店舗数が28000店もあって、銀行も持っているセブン&アイ・ホールディングスが参入したくなってくるのも何とかわかるような気がする。しかし、ユーザーたちが本当にそれを望んでいるのだろうか。



 SuicaやEdyが流行る理由は買い物をするときに小銭の使用や、駅で切符を買う必要がなくなること。そして、将来各店のポイントカードがこれらと合体することによって、財布が薄く、軽くなると予想されているところにある。
 要するに「簡単・便利になる」というのがポイントだ。
 そこにセブンが参入してくると、どうなるだろう。まず財布の中に一枚のカードが増えてしまうことは間違いない。今はSuicaとEdyが一枚に、さらにそれにたくさんのカードも合体することを期待している人は僕だけではないはずなのに、セブンはカードを増やそうとしている。しかも、使えるのは「セブンイレブンとイトーヨーカ堂など」とかなり範囲が狭そう。
 セブンは「サービスをスピーディーに展開するため独自カードを選択した」と説明している。しかし、セブンバンクも持っているから、おそらくその意図の所在はは電子マネー機能だけではなく、キャッシュカードやクレジットカードの機能もつけて、金融機関として動き出そうとしたいところにあるのではないか。
 それなら納得はできる。ユーザーたちも確かにクレジット、キャッシュ、電子マネーが一枚になっているどこでも使えるカードに対してニーズがある。これからクレジット、キャッシュ、電子マネーもみんなその統合の方向に動くはずだ。でもこの三種のカードともすでに大きな先駆者が複数いる、それらが協力し合えばかなり強力なサービスを提供することができるはずだ。セブンが今参入しても、特別な策がない限り、シェアを奪い取ることがかなり困難なのではないかと思う。
 つまり、電子マネーとしては、一本化の方向に向かっていくであろう現在の状況では、参入してきても成功の可能性が薄そうだし、金融カードとしての参入でも、既存カードと電子マネーの提携をもたらす結果になって、強いライバルを作るだけで、満足のできる利益を上げることが難しいと思う。


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2005年11月29日火曜日

映画 SAYURI

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 ハリウッド [好莱塢(hao3lai2wu1)] の日本映画でチャン・ツィイー [章子怡( zhang1zi3yi2)] 、ミッシェル・ヨー [楊紫(王京)(yang2zi3qiong2)] 、コン・リー  [(工凡)俐(gong3li4)] と中国人女優を三人も採用して主役も演じることでちょっと注目した。昨日この映画SAYURI [芸妓回憶録(yi4ji4hui2yi4lu4)] の記者会見があったようで、ネットでちょっとその様子を見た。
 なかなか文化の背景のわからない映画だと思う。中国人女優が演じる米人の小説が原作のハリウッド映画。何か納得もできるようだけど理解しにくい雑種のような感じなのだ。
 



 原作がアメリカ人の小説という決定的なポイントで、この映画はハリウッドが作るしかないことを決めているでしょう。要するにこれはあくまでも米人の見る日本であるということだ。
 そして、注目を集められる世界的にも有名になっている三人の中国人女優は6週間の芸者を演じるための訓練を受けただけだと会見で言っているので、理解できていない(かもしれない)文化を、あくまでも「物語」 [故事(gu4shi0)] として演じているだけではないかと思う。
 結局文化 [(wen2hua4)] のない映画になってしまっているだろう。そもそも僕は芸者という日本文化をよくわからないし、映画ももちろん見ていないから、文化があるかどうかは言えない。でも、どうしてもこのようなハリウッド映画は文化を借りているだけで、その文化そのものの価値を無視しているように感じる。


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2005年11月28日月曜日

人名で見る 花より男子 と 流星花園 

hanayori 今のドラマ [電視劇 (dian4shi4ju4)]花より男子」よりも前に、台湾版花より男子の「流星花園 [(liu2xing1hua1yuan2)] 」はすでにBSなどで放送されていた。今日のテーマはその登場人物の名前について。
 台湾版では中国語ではあるが、一部の登場人物の名前は原作の名前のままにしていた。たとえば、「花澤類 [(hua1ze2lei4)] 」や、「藤堂静 [(teng2tang2jing4)] 」は原作の名前のままだった。
 一応中国語でも「諸葛 [(zhu1ge3)] 」や「司馬 [(si1ma3)] 」、「東方 [(dong1fang1)] 」、「上官 [(shang4guan1)] 」など漢字二文字の苗字があって、中国語では「復姓 [(fu4xing4)] 」という。そのため、「花澤」、「藤堂」もこのような復姓だと、ドラマを見る観衆は勝手に解釈することになり、少々不自然ではあるが、特に気にすることではない。
 しかし、「道明寺司」にくると、問題が発生する。中国語には基本的には三文字の苗字がないからだ。



 そこで、台湾版は、「道明寺 司」を「道明 寺 [(dao4ming2si4)] 」にした。すなわち「道明」を苗字、「寺」を名前にしたのだ。日本語で読むと変な感じがするが、中国語の発音ではそれなりに名前らしい名前ではある。
 「道明寺司」が「道明 寺」になったから、「道明寺椿」は「道明 椿 [(dao4ming2chun1)] 」に、「道明寺楓」は「道明 楓 [(dao4ming2feng1)] 」にそれぞれなった。
 「西門総二郎」と「美作あきら」はそんなに重要な人物でもないから、台湾版では簡単に「西門 [(xi1men2)] 」と「美作 [(mei3zuo4)] 」として、特に苗字か名前かもはっきりしないことにした。
 そして、一番重要な名前である「牧野つくし」なんだが、つくし本人が何回も言っていた「私は雑草のつくしだ」という名前のイメージを保つために、台湾版では「杉菜 [(shan1cai4)] 」とう名前にした。これも苗字か名前かわからない名前ではあるが、発音は「山菜 [(shan1cai4)] 」と同じで、一応「雑草のつくし」のイメージを何とか反映するような名前ではあった。
 他の登場人物については、「松岡優紀」を「小優 [(xiao3you1)] 」と「優ちゃん」の意味の名前、というよりも愛称で、「青池和也」を「青和 [(qing1he2)] 」と同じ苗字か名前かわからないものにして、その他は適当な名前にしたのだ。
 台湾版ではあくまでも台湾での物語にしたため、名前をこのように工夫せざるを得なかった。もしアニメでをそのままテレビで上映するだけなら、こんな面倒なこともしないはずだ。中国でスラムダンク [中国語の題訳は局によって違ったりするが、一般的には 灌籃高手(guan4lan2gao1shou3)] のアニメをやっていたときは人の名前も学校の名前も日本語の漢字そのまま使っていた。もちろん中国語の発音で。
 ちなみに、台湾版では牧野つくしの弟という人物はいなかった。牧野の両親は「杉菜父 [(shan1cai4fu4)] 」「杉菜母 [(shan1cai3mu3)] 」と名前もなかった。


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2005年11月27日日曜日

読書 AERA English

 
   AERA Englishをコンビニで購入。今までも存在は知っていたが手にして読むのが初めてだ。
 前はNewsweekのような英語の雑誌だと思っていたが、実際に見てみたら違った。日本語の雑誌だった。

 これは英語の勉強のための雑誌なのだ。勉強法、体験談、日本語訳付きのインタビューや記事、英語の講座などと内容はいろいろ。面白くて読みやすい雑誌だと思う。英語の勉強意欲を引き出せるような雑誌でもある。また、月刊であることもいい、英語の内容を勉強するのに十分な時間をくれている。
 上級者向けの雑誌ではないから上級者が読んでいたら物足りないだろうけど、僕くらいの普通のレベルの人にとってはちょうどいい。無駄な内容がほとんどないのもいい。
 そしてAERA本誌同様どこかにちょっとした何かが欠けているところもまたこの雑誌のいいところ。

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