2005年10月29日土曜日

読書 石油を読む 藤和彦

石油を読む―地政学的発想を超えて
 を読んだ。
 もともとは中国海外研修のテーマの一つの資源の基礎知識勉強用の教材としてうちの研究室のボスが三年生に薦めた本だけど、実際に石油の研究をする僕にとってもとても勉強になる本だった。
 地政学と言う考え方が今の原油を求める各国の、特に中国とアメリカの動きに政治的なものにしてしまっている。そのため原油市場は混乱を引き起こされる。というのが著者の主張。そして、今後は天然ガスの開発に力を入れるべきだという話。



 この本の一番の特徴は難しい理論を使わずに、定性的に各要素の石油市場への影響を分析することである。わかりやすいだけではなく、各要素についての分析も説得力がある。僕のこれからの研究のテーマの一つは石油価格を影響する要素の分析なので、まさにこれがこれからの研究の教材になる。
 著者は学者ではなく、政府の人であることも大きな特徴。この本はある程度今国の専門家の石油に対する見方やこれからの動きの方向性を反映しているはず。もちろん実際には商社やエネルギー会社の方が日本のエネルギー市場を動かしているだろうが。
 読み終わって感じた疑問の一つはその地政学発想に基づいた動きは実際にアメリカや中国のエネルギーセキュリティー、そして国際原油市場にどのような影響を与えていて、それをどのように定性的、定量的に評価すべきなのかである。これを考えていくのは僕のこれからの課題の一つとなる。

2005年10月28日金曜日

ドトール東大安田講堂店


 ついに開店した。ローソンの東大構内開店からは一年足らずで、ついに東大構内にカフェができた。大学内のニーズが前から相当あって、そして国立大学の独立法人化がこれを可能にしたのだろう。生協の独占状態を壊して、キャンパス内も競争が始まる。
 店にはまだ行っていないけど、今度時間があったらいってみよう。



2005年10月27日木曜日

500円貯金を始めた

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 今まで貯金らしい貯金をしたことはなかった。そろそろ貯金もしてみようと思って、今週から500円貯金を始めた。100円ショップで買ったいっぱいになったら20万円の貯金箱にはまだ500円玉が何個かしか入っていないが、これからこの貯金箱がいっぱいになっていくのが楽しみだ。



2005年10月26日水曜日

ものづくりにIT

 今日学校の授業で株式会社インクスの社長が話に来た。しかも今回の講義の内容は、先週スタートした東京大学モーターショーでの会社紹介の発表の内容そのままだった。
 ものづくりにITを導入して、成功した代表的な企業で、小泉首相も会社を訪れるほどと大学の先生が紹介していた。今までもものづくり系の会社の社長やIT系のベンチャー社長の話をたくさん聞いてきた。話すことは大体自社の商品の紹介と企業の大変さだった。だから、今回の話に対してもそこまでの期待感はなかった。
 しかし、実際にこの会社は違った。「世界一速い」を会社の目標として抱えて、さらに、それをITを使って見事に実現してきた。
 金型の設計から製造まで、さらに実際の製品の製造もやる会社だが、その技術の高さは驚くものだった。
 まずは自社に依頼が来る全世界のメーカーの携帯電話の部品の金型製造だが、各社のすべての部品を分析することによって、同じ種類の部品の各社の違いはごくわずかであって、同じ金型で先端部分だけを変えれば全メーカーの同種類部品を一つの金型で生産できるとわかった。このように生産する部品の金型の標準化を全部品について進めてきた。
 さらに、自社ソフトを開発して、製品デザインがそのソフトで行われれば、同時にその金型のデザインも自動的にできるようにした。それだけではなく、設計から製品成型までの全工程のすべての情報をネットワークを通して、各機械からファラオと言う自社開発のソフトに送り、ファラオがその全工程を管理するようなシステムを作り上げた。このソフトによって、従来ベテランでないと製造できないと思われてきた全工程の90%以上(99%くらいらしい)はパソコンやバイトなどの非熟練者によってできるとわかった。これで製造工程の人員数を大幅に削減でき、効率も大幅にあがった。また機械とバイトの人への指令は全部ファラオが出し、そのチェックもファラオが自動的に行い、さらに自動処理をし、データを再び機械に戻すというサイクルを繰り返すので、伝達によるミスもなくなった。
 ハードの面も研究開発に力を入れている。その一番重要なのは自社開発の超細エンドミルの開発によって、携帯などの全部品の金型を切削によって作ることに成功した。
 このような製造のIT化とネットワーク化、生産技術の進歩によって、今まで携帯の本体の設計から製品出来上がりまでの期間の45日間を45時間に短縮した。これはもちろん世界一速い製造スピードである。
 当たり前だが、このように会社の目標をとことん追及し、自社の技術に自信を持ち、さらにそれにこだわり続けて、業界の常識をひっくり返すことはなかなか中小企業では起こらない。ITの導入が会社の効率上昇につながるとは一般的に知られているが、その程度によって効果が違うのも知られている。大体中途半端の導入の場合は望むほど効率あげられないとよく聞く。やはりインクスのようにとことんITによる効率向上を追求しないと、IT導入による満足するペイは得られないだろう。
 インクスは今その自社のノウハウやソフトを使ってコンサルティングもやっている。生産技術のコンサルティング分野は日本のこれからの期待できる分野なのではないか?インクスが示した例は日本ものづくり業界全体へのヒントになるでしょう。



2005年10月25日火曜日

デジカメ&メモリカード

SONY DSC-T5 S CYBER SHOT/T5 シルバー
 デジカメを買った。海外研修でカメラがない不便を実感したから、買うことにした。
 買ったのはSONYのT5。一番薄い機種のT7と迷っていたが、電池が持つ時間を考えて、T7よりも長く持つこっちにした。500万画素で3万円以下だから、満足。
 実際に使ってみたところ、まずその小ささと軽さに感心した。名刺サイズで140gしかないから胸ポケットに入れても重い感じはまったくしない。しかもデザインもよく、さすがSONYと思った。
 カメラのためにメモリスティックDUOも買った。一緒にメモリカードリーダーも買った。実はカメラのカードのメモリスティックDUOの他に、PDA用のメモリスティック、携帯用のminiSDをもっている。しかし、今使っているThinkPadには普通のSDしか読み取れず、この三枚のカードのどれも機械本体とパソコンと繋ることでしかデータ交換できない。そのために11種類のカードを読み取れるリーダーを買ったのだ。
 DVD以外の標準化していないため不便の例は初めて知った。メモリカードには10種類以上もあることにも驚いた。これは技術的な贅沢だと思う。全体的な技術力が高いから、同機能の違う商品をたくさん開発してしまう。確にこれらは細かいニーズに対応すると同時に互換性がないためユーザーの他製品へのシフトコストを高めた。しかし標準化しないまま国内競争に没頭している間海外企業に国際標準化をやられてしまうリスクもある。競争による技術進歩があるが、技術は分散してしまう。
 この贅沢は否定すべきものではないけれども、もっといい共存の仕方もあるはずだと思う。

2005年10月24日月曜日

中国産キムチ

 また中国産食べ物に問題。韓国で中国産キムチから寄生虫の卵が発見された。
 中国産食べ物は日本へ輸出のホウレンソウやうなぎなどの問題で話題になった。中国産食べ物、特に加工品はかなり信頼を失ってしまっている。実は中国国内でもその信頼はなく、食の安全の問題はかなりの頻度でニュースに取り上げられている。全国各地で衛生条件の悪い個人工場に対する取締りも厳しく行われている。しかし、それでもやはり問題は絶えずに起こる。
 問題発生の原因は生産者のモラルの低さにあると人事で片付ければ簡単だが、社会的要因をもうちょっと深く考えてみる。
 まずなにより重要なのは改革開放による市場経済化。まだまだ欧米に認められるほどの市場経済にはなっていいないものの、小さい地域単位で見ると、中国のローカルの市場のかなり自由化されている。しかも、市場としては小都市や農村部では売り手市場であるため、生産者はかなりの主導権を握ることになる。
 次にあるのは一般的な中国人のビジネス意識はかなり近視眼的な部分があり、長期的な利益よりも目の前の利益を重視する。
 三番目に社会全体の法整備が完成していなく、まだ進行中であるため、市場が急に制度の改善によって環境が変わる可能性がある。それは要するに今までやってきたビジネスのやり方を変えなければならない可能性も出てくる。
 以上の自由な売り手市場、短期利益重視、環境の不安定性の三点から、ローカルな生産者は、とにかく低コストで短期利益を追求する方向に走ってしまう。ものの質よりもいかにコストを下げて、儲けを最大化することを追求するから、生産環境や、原材料の使用などで、モラルや法に反するずさんな経営をしてしまう。とりあえず非常に小さな設備投資をして(もちろん、衛生上まったく基準を満たさないような設備と環境を用意するだけ)、儲けるだけ儲けて、いざ環境が変わったり、あるいは取締りが厳しくなれば、その事業を止めてまたほかの事業に転換すればいいという発想である。このような考え方をもって個人工場として生産を行っている「企業」(企業にもいえない、ただの未登録違法個人工場だけど)が、安さという武器で、ローカル市場の片隅で生きている。スーパーやちゃんとした店で単量販売するようなメジャーの部分にはやはり進入できないが、一部同じ短期利益追求の店にはなんとか進出できてしまう。さらに海外からの大量受注に大手の生産が追いつかない場合、ごく一部での現象に過ぎないが、一般的な市場から、「割と」質のいいものでその分を補うことが起こってしまう。これが今回のキムチ問題の原因なのではないかと思う。もちろん本当に原因を探るには実際に生産地域で起きていることを調査しないといけないが。
 日本へのホウレンソウなどの両国間の基準の差異から生じた問題とは異なり、韓国での今回の問題は中国国内の食品安全をも害している悪質業者の影響が海外にまで及ぼしている例である。国としての迅速な制度整備がこのことによっても加速されることになるだろう。



2005年10月23日日曜日

ポジティブに、慎重に

 ドラゴン桜の第10巻を読んで、ポジティプになるには「自分の周りのことを全部肯定するように見る」とあった。非常に分かりやすい心理暗示だ。
 僕は基本的には非常にポジティプな考え方を持つ人間だと思っている。そしてそのお陰でいろんなことがうまくいっている。でももちろんポジティプだけでうまくいったわけではなく、他にもたくさんの要素があった。その中で一番重要なのは慎重さだと思う。
 ポジティプだからこそ実行するときに慎重にする必要がある。やはりポジティプで楽観的に物事を見てる分だけ見落としている部分があるかもしれない。だから厳密に検討しなければならない。
 その意味で、あまりライブドアのフジテレビに対して、そして楽天のTBSに対して取った行動を理解できない。実行手段は荒すぎるように見える。孫子の兵法には「上兵は謀を伐ち、其の次は交わりを伐ち、其の次は兵を伐ち、其の下は城を攻むるなり。」とある。ライブドアと楽天の行動は「城を攻むる」ことに相当するだろう。