2005年10月29日土曜日

読書 石油を読む 藤和彦

石油を読む―地政学的発想を超えて
 を読んだ。
 もともとは中国海外研修のテーマの一つの資源の基礎知識勉強用の教材としてうちの研究室のボスが三年生に薦めた本だけど、実際に石油の研究をする僕にとってもとても勉強になる本だった。
 地政学と言う考え方が今の原油を求める各国の、特に中国とアメリカの動きに政治的なものにしてしまっている。そのため原油市場は混乱を引き起こされる。というのが著者の主張。そして、今後は天然ガスの開発に力を入れるべきだという話。



 この本の一番の特徴は難しい理論を使わずに、定性的に各要素の石油市場への影響を分析することである。わかりやすいだけではなく、各要素についての分析も説得力がある。僕のこれからの研究のテーマの一つは石油価格を影響する要素の分析なので、まさにこれがこれからの研究の教材になる。
 著者は学者ではなく、政府の人であることも大きな特徴。この本はある程度今国の専門家の石油に対する見方やこれからの動きの方向性を反映しているはず。もちろん実際には商社やエネルギー会社の方が日本のエネルギー市場を動かしているだろうが。
 読み終わって感じた疑問の一つはその地政学発想に基づいた動きは実際にアメリカや中国のエネルギーセキュリティー、そして国際原油市場にどのような影響を与えていて、それをどのように定性的、定量的に評価すべきなのかである。これを考えていくのは僕のこれからの課題の一つとなる。

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