2005年10月24日月曜日

中国産キムチ

 また中国産食べ物に問題。韓国で中国産キムチから寄生虫の卵が発見された。
 中国産食べ物は日本へ輸出のホウレンソウやうなぎなどの問題で話題になった。中国産食べ物、特に加工品はかなり信頼を失ってしまっている。実は中国国内でもその信頼はなく、食の安全の問題はかなりの頻度でニュースに取り上げられている。全国各地で衛生条件の悪い個人工場に対する取締りも厳しく行われている。しかし、それでもやはり問題は絶えずに起こる。
 問題発生の原因は生産者のモラルの低さにあると人事で片付ければ簡単だが、社会的要因をもうちょっと深く考えてみる。
 まずなにより重要なのは改革開放による市場経済化。まだまだ欧米に認められるほどの市場経済にはなっていいないものの、小さい地域単位で見ると、中国のローカルの市場のかなり自由化されている。しかも、市場としては小都市や農村部では売り手市場であるため、生産者はかなりの主導権を握ることになる。
 次にあるのは一般的な中国人のビジネス意識はかなり近視眼的な部分があり、長期的な利益よりも目の前の利益を重視する。
 三番目に社会全体の法整備が完成していなく、まだ進行中であるため、市場が急に制度の改善によって環境が変わる可能性がある。それは要するに今までやってきたビジネスのやり方を変えなければならない可能性も出てくる。
 以上の自由な売り手市場、短期利益重視、環境の不安定性の三点から、ローカルな生産者は、とにかく低コストで短期利益を追求する方向に走ってしまう。ものの質よりもいかにコストを下げて、儲けを最大化することを追求するから、生産環境や、原材料の使用などで、モラルや法に反するずさんな経営をしてしまう。とりあえず非常に小さな設備投資をして(もちろん、衛生上まったく基準を満たさないような設備と環境を用意するだけ)、儲けるだけ儲けて、いざ環境が変わったり、あるいは取締りが厳しくなれば、その事業を止めてまたほかの事業に転換すればいいという発想である。このような考え方をもって個人工場として生産を行っている「企業」(企業にもいえない、ただの未登録違法個人工場だけど)が、安さという武器で、ローカル市場の片隅で生きている。スーパーやちゃんとした店で単量販売するようなメジャーの部分にはやはり進入できないが、一部同じ短期利益追求の店にはなんとか進出できてしまう。さらに海外からの大量受注に大手の生産が追いつかない場合、ごく一部での現象に過ぎないが、一般的な市場から、「割と」質のいいものでその分を補うことが起こってしまう。これが今回のキムチ問題の原因なのではないかと思う。もちろん本当に原因を探るには実際に生産地域で起きていることを調査しないといけないが。
 日本へのホウレンソウなどの両国間の基準の差異から生じた問題とは異なり、韓国での今回の問題は中国国内の食品安全をも害している悪質業者の影響が海外にまで及ぼしている例である。国としての迅速な制度整備がこのことによっても加速されることになるだろう。



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