2005年12月17日土曜日

ドラゴン桜効果

 大手予備校が東大模試の受験者数からの予想によると、今年の東大出願者数は去年より二割増えそうだ。 大学からは特に明白な理由がみつからないから、この二割増はドラゴン桜の影響だと考えてもいいでしょう。 でもこれは所詮漫画によってもたらした一時的なものに過ぎず、今年の東大入試には実質な影響がないだろうと思う。

 確に漫画によって東大攻略本的な本が本屋に並ぶようになったし、漫画には東大に行くと将来にいいことがあるとも書いてあった。でもそれは納得できるような理屈だとして、それで東大を受けたい人が増えたとしても、その増えた分の人達は東大に入るような実力のある人ではないだろう。 漫画が流行りだしたのは今年すでに半分過ぎた時だった。その時点から漫画に書いてある勉強法で勉強しても時間的には足りるはずがない。とすればこの増えた二割は本気で東大に行きたくてその勉強法を実践した人ではないはずだ。すなわち元々は他のどこかの大学が第一志望だけど、ブームに乗って東大を(あるいは東大も)受けてみようと思った人でしょう。東大受験の難易度から考えて、他を受けたかったけど、実力あるから東大も受けてみようと余裕に思える人はそういないだろうし、いたとしてもそのような人は最初から東大と他の併願だろう。 こう考えれば増えた二割は真剣に考えているのではなく面白半分で東大出願しようとする人達でしょう。結局この部分の人達はセンター試験による第一次選抜、すなわち足切りをクリアできない人が多いだろうし、多少この人達によって足切り点があがったとしても本当の実力者が切られるほどのあがりが起こることはありえないから、結局最初から合格ラインに達する可能性がほとんどない人が増えただけで終わる。 東大はやはり東大だから、ちゃんと戦略立てて計画的、持続的に勉強すれば受かる可能性は相当あるが、なめていても入れるはずがないでしょう。 ブログランキング(クリックお願いします)

2005年12月16日金曜日

中国の休日

 今日はちょっと中国の休みについて書く。
 まず中国は全国皆週休二日制である。これは僕が小学校卒業前後の時始めたのだから、95、96年くらい。祝日は基本的には定められた記念日であって、その代表的なのは五月一日のメーデーや十月一日の国慶節(建国記念日)。この二つの場合は法律では三日間休みとなっている。実際にはその前後の土日休みを移動して、七日間の休みにするのが普通。これが五月と十月のゴールデンウィークである。 他のこのような記念日休みは三月八日の婦女節で女性が休みする。五月四日青年節、これはゴールデンウィーク中だから休み。六月一日児童節で小学校休み。七月一日共産党立党記念日で全国休み。八月一日解放軍建軍記念日で軍関係休み。九月十日教師節で学校休み。
 もう一種類の休みは伝統的な祭日。旧正月の春節の一週間休みと元旦の一日休みがその代表。後は旧暦一月十五日元霄節と旧暦八月十五日の中秋節は午後だけの半日休み。それ以外の旧暦の祭日、例えば旧暦三月頭にある清明節、旧暦五月五日の端午節、旧暦七月七日の七夕、旧暦九月九日の重陽節などは休日にはなっていない。現在これらを法律で休日と定めるべきかどうかが議論されている。
 クリスマスやハーローウィンなどのキリスト教関係の祭日は、もちろん休日ではない。若者たちがクリスマス(聖誕節)とバレンタイン(情人節)を祝っているが、一般的には受け入れられていない。

 全国の学校は皆二期制で、夏休みと冬休みの二回だけ長期休暇がある。その時期と日数は自治体が決める。新学期の始まりは三月一日に一番近い月曜日と九月一日に一番近い月曜日だから、基本的には七月後半と一月後半から休みに入る。ただし、寒い地域では冬休みが長く、夏休みが短い、暑い地域では夏休みが長く冬休みが短くなっているため、各地の休みの始まりはバラバラである。両方合わせて三ヶ月の休みがある。また、旧正月の期日が毎年変わるので、冬休みは必ず正月を含むように決められる。
 最近旧正月、メーデー、国慶節の三回のゴールデンウィークのたびに、のべ1憶人くらいの人が旅行や里帰のために移動し、交通負担があまりにも重いので、三日間の休みと土日を繋げないで、七日間連休にならないようにしようとする声も出ている。でも今のところ交通システムはなんとかその負荷を耐えられているし、旅行などで経済活性化効果もあるから、しばらくは年三回のゴールデンウィークは続くだろう。
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2005年12月15日木曜日

100ドル・ノート・パソコン

 MIT:100ドル・ノートパソコンの試作機を公開とのニュースがあった。
 途上国の教育のために、政府の教育の予算で買わせるとはいえ、ノートパソコンは10000円台にはとうとう突入してきた。これは、一般的なノートパソコンの値段低下の流れをも反映しているのではないかと思う。
 中国のレノボ(聯想グループ)がIBMのパソコン部門を買収したとき、世界パソコン市場はゆっくりと低価格の方向へ向かっていくだろうと予想した。
 実は中国国内市場では、中国メーカーは5万、6万円台のノートパソコンをすでに発売している。

 中国国内では、自国の中小パソコンメーカーは多数ある。その競争は激しく、2年位前から競争は値下げの方向に向かってきている。シンプルにし、値段を下げるというのは各会社の方針になってきた。これが5万円台ノートパソコンが市場に誕生した理由となっている。
 レノボなどの世界を視野に戦っている会社は、自社開発を武器に、多少他社よりは高くても、質のいい、機能のいいパソコンを作ることによって、勝ち続けているが、価格に関してはやはりそれなりに影響を受けていて、低価格傾向にはある。自社研究を行っても、その人件費はやはり世界の他の会社よりは低い。
 IBMのパソコン部門の買収によって、世界パソコン業界での重要なプレーヤーになったレノボのこの低価格傾向は、最終的に世界パソコン市場の価格を下げてるだろうと見て、不健康な競争をもたらすのではないかと心配していた人が一部いた。
 レノボも同じことを認識していただろうから、実際にはもとIBMのThinkブランドは値下げすることがなかった。でもそれに対して国内で発売している機種は、やはり国内市場の価格に合わせている。同じ会社の違いブランドとはいえ、最終的にその開発製造コストが近づいてくるに違いない、その時、やはりパソコン価格は世界的に低下するに違いない。


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2005年12月14日水曜日

古い時代の社長

 今日大学の授業で、トヨタの副社長を経て、トヨタ系の自動車部品会社に転籍し、その社長、会長を経験し、去年現役引退した経営者が話をして下さった。
 配られた資料は三つの部分で構成されている。
  第1章は「会社生活を振り返って」
  第2章は「問題解決と創造」
  第3章は「むすび」
 だった。その第2章は、いろんな工学的、数学的、そして哲学的な考え方やモデルの紹介になっている。僕も、同じ授業を受ける学生たちもかなりこの部分には興味を持って話を聞いていた。



 しかし、1時間半の授業は第1章の内容で終わってしまった。終始現役時代、特にトヨタ役員になるまでの部長までの時代の話を話してくださった。
 話しそれ自体が退屈なわけではないが、決して面白いとも言えない。なによりも、話の中に出てくる技術も、生産方式も、考え方も、そして会社が直面する状況も、全部「その時代」のものだった。特に技術や生産方式は今もう使われていないものがほとんどだった。内容そのものには問題解決の手段や考え方になるようなヒントもなく、結局一時間半ほぼ自慢話を聞いて終わったような気がしてならない。
 本当に「こんな話は僕たちにどんな意味がありますか?」と聞きたくなるような内容ばかりだった。もちろん学生たちは容赦なく3分の1くらい寝ていた。吉野家阿部社長の授業の時とは大違いだった。
 授業が終わって感じたのは、これは一つ前の時代の「古い社長」の話だったというものだ。あの代表的なIT企業の社長が言ったことを思い出させるような授業だった。

2005年12月13日火曜日

東大 技術経営戦略学専攻 (TMI) 設立

TMI 来年僕が入学する予定の大学院の新しい専攻が発表された。一応日経BPでも取り上げられている
 専攻の名前は技術経営戦略学専攻(Department of Technology Management for Innovation、TMI)で、来年の4月に正式に設立される。今まで2,3年間非正式専攻としての東大MOT(技術経営、Management of Technology)専攻が正式専攻となったということである。
 東大工学部では2000年に新しくシステム創成学科が設立されて、新学科には四コースがあり(今年から六コースになった)、その中の知能社会システムコースは、いわゆるMOT(技術経営)の学部版のような専門である。そして、この専門に対応する大学院として、この技術経営戦略学専攻が設置されることになった。



 知能社会システムコースも、この新しい技術経営戦略学専攻も、技術をマネジメントするという理念のMOTを勉強、研究するものである。簡単に言えば、工学部のエンジニアリングを知識とツールのベースとして、経営の視点を取り入れ、技術のマネジメントをする。
 その中で勉強している学生としては、その勉強は技術・エンジニアリングの理系の面白さと、経営・経済・ファイナンスなどのいわゆる文系(実際はこれらは全部理系のないようだと思うが)の面白さを同時に感じながら勉強できるところが他の専門よりいい点だと思っている。今まであった大学の勉強の形ではなく、もっと時代に合っている勉強ができている(だろう)融合的な専門である。この専門の特徴を一番よく現れているのはそのカリキュラムであるので、ぜひ見ておいてください。
 工学部システム創成学科知能社会システムコースカリキュラム
 工学系研究科技術経営戦略学専攻カリキュラム


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2005年12月12日月曜日

読書 中国農民調査

 二年くらい前中国で出版され、大きな話題になったこの本が、日本でも出版された。
 中国の農民の今の現状、受けなければならない、我慢しなければならないいろんな不平等な待遇、法律がまったく無視されて、一部の人が農民を搾取しているなどのことを、実際の調査によって明らかにし、その問題とそれの解決(もちろん完全な解決ではないが)の過程を記述し、まとめたレポートなのである。
 一つ言わなければならないのは、「刊行2ヶ月で、発禁処分」というのが宣伝文句になっていて、中国でこの本が禁書になっているような言い方をしているが、それは事実ではない。
 まずこのレポートが本になって出版される前に、党関係の有名な雑誌で連載されていて、本になって全国の本屋に並べられてから最初の一ヶ月だけで10万冊売られた。その本と、その作者、さらにそれに反映されている問題は中国中央テレビ(CCTV)、新華ネット(新華社のニュースサイト)をはじめ、各マスメディアにも取り上げられていた。指導部がその本に書かれた問題について直接指示を出すほどの影響力だった。
 そして、今でもその本は買えるし、ネット上では簡単に検索すれば、各大きなポータルサイトや、読書サイトではその全文を読める。僕も実はインターネットでそれを見つけて読んだのである。

 この本が出版され、話題になったのは、ちょうど農民問題が大きくなって、中国政府がいろいろな実際の解決策を打つ時だった。実際に政府が農民問題について調査をし、問題の解決策を作るのはその前のかなり早い時期から始まっていた。いろんなメディアで農民問題が取り上げられていた。この本は農民問題を伝える一つのメディアに過ぎなかった。ただ、この本ほど詳しく、生々しく実際に起きている問題を伝えている報道がほとんどなかったため、大きな話題になった。さらに、この本が一般市民の農民問題に対して関心をもつきっかけとなった。
 本の内容は実際に貧困地域の農村での問題を赤裸々に記述し、それを生み出している行政、制度、法律、社会、さらにモラルなどの面の問題を指摘して、そして国がどのような政策を出し、問題はどのように解決されようとしていたのかをも書いていた。本で記述された各レベルの官僚は、中央指導部メンバーを含めて、ほぼ全員実名だった。
 中国人の多くは涙を流してこの本を読んでいたという。この本は中国にとっての農村農民の重要性、そして農村と農民に起きている極めて大きな問題、それを解決しなければならない緊迫な現状を知ることのできるとてもいい本である。そしてこれらを理解することで、今中国がとっている国内政策の多くをよりよく理解できるに違いない。

2005年12月11日日曜日

中国人が旅行を始めた

 中国政府の発表によると、今年1月から10月までの中国国内の旅行者数は中国人、外国人あわせて1億人を超えたという。
 中国は一昨年くらいから、ゴールデンウィークが年三回(二月旧正月春節休み、五月メーデー休みと十月国慶節休み)になった。しかもここ数年収入の増加が割りと大きいから、中国人も休みを利用して旅行するようになった。
 最近のゴールデンウィークでは、マイカーで旅行をするという新しい形が流行り、列車や飛行機の旅行を好まない一部の若い新裕福層も旅行を始めた。
 それで、中国国内旅行者数がかなり増えた。外国人の旅行者はあまり変わってないから、増加はほとんど中国人。
 国内が増加するが、中国人の外国旅行はそれほど増えていないようだ。大陸の旅行者を期待していた香港ディズニーランドの入場者数も予想を大幅に下回っている。
 中国人はなぜ外国旅行をしたがらないか。

 まず一番大きいのは中国人には外国旅行の習慣や文化がほとんどない。40代以上なら英語を勉強した人は極めて少ないし、外国の旅行地では中国が通じるガイドも少ないから、壁が大きい。なので基本的には外国に親戚でもいない限り、遊びに行こうとは皆思わない。
 そして外国旅行はまだ一部の制限があるという理由がある。例えば中国人の日本旅行は今年にやっと日本政府より全面解禁になり、個人旅行ができるようになった。EUは日本より解禁が早いけど、それも割りと最近のことである。
 さらに、中国人がほとんどの外国に行くのに、短期でもビザが必要。これは香港に行くときも同じである。
 旅行費用も制約になっている、外国旅行はやはり国内よりは費用がかかるから、外国を諦めて国内を選んでいる人は少なくない。
 このような理由があって中国人の外国旅行はまだ流行っていないが、その流行りは時間の問題だ。なにより中国人は条件さえそろえばできれば外国旅行をしたがるからなのである。その証明は前から唯一の人気のある東南アジア旅行。
 東南アジアは中国に近く、食や文化も似ていて、そして重要なのは中国語が通じるところが多く、一部では人民元も使える。これらの条件がそろっているから、中国人には大きな人気がある。
 日本も中国人旅行市場を開発しようとしているから、これらの面を早急整える必要があるのでしょう。
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