2005年12月2日金曜日

一人っ子政策 30年 9000万人

 中国の一人っ子は9000万人に達したと発表された。
 1970年代からスタートした一人っ子政策が今年で30年くらい続いている、一人っ子が9000万人生まれてきた。でも実際には30歳以下の人はみんな一人っ子なわけではない。
 一人っ子政策は法律として作られ、違反する場合は罰金も課せられる。実施当初は平均年収くらいの罰金だった。それでも農村部の人々はみんな隠して二人目以降の子供を生んでいた。 罰金から逃げるために、夫婦二人が子供を連れて全国で廻りながらまた子供を生むこともあったという。

 当時の農村では労働力=収入だった。しかも女の子は結婚したら家を出てしまうから労働力は減る。男を産んだら労働力になるだけではなく、嫁さんもらったらもう一人労働力が増える。これが理由で、中国は昔から「重男軽女」だった。一人っ子政策になってからもこの思想の影響が大きく、農民たちはとにかく男の子を産もうと産もうとしていた。「男の子が生まれるまで産み続ける」という家族も少なくなかった。
 だから今の25歳以上の人は一人っ子ではないのもたくさんいる。ほとんどが農村部出身で、特に女の人なら下にまた弟か妹がいるのが多い。今の出稼ぎ沿岸部の工場で働いているワーカーたちは大体みんなそうである。
 時代の変化に伴って、農村部で二人以降を産むことがだんだん少なくなってくる。農村で労働力があまるようになったことが一つの理由で、決定的な理由は農村部の収入が物価ほどの上昇はしなかったため、農民が一人の子供を育ち、教育させるにはその子が成人してから家にもたらせる収入よりはるかに大きいからである。
 今度二人目の子供を生むようになったのは都市部の新富裕層である。二人目以降を産む時の罰金も物価の上昇ほどあがっていないから一般の市民には難しいが、富裕層にとっては払うのにそれほどの問題ではなくなってきている。そのような富裕層によって二人目が欲しければ自分から罰金を払って産んでいる。もちろんその後の教育費などの出費も覚悟している。
 今はごくわずかではあるが、そのような富裕層が増えつつある。
 ここ数年、一人っ子政策にも変化が出てきた。人口構造が逆三角形になってきているので、これ以上子供が減ると社会的に問題になってくるので、「一人っ子同士の結婚の場合なら二人まで産める」とか、「一人目が生まれてから5年が経ち、お母さんが28歳を超えていれば二人目を産んでいい」とかと省によって政策が違うが、新しい政策をどんどん作られてきている。
 「一人っ子政策」が「二人っ子以下政策」になると、今の一人っ子たちは一台だけの一人っ子になるかもしれない。そして、この一人っ子たちは20年後から中国をドライブしていくことになる。中国の性格もこれによってある程度変わるだろう。


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