2007年2月19日月曜日

推薦・AO入試、大学のジレンマ

 先日日経新聞で、推薦入試やAO入試で合格した学生を、入学する前に予備校で補修を受けさせる大学が増えたという記事を読んだ。


 少子化で新入生確保の競争激化したなか、推薦やAO入試は大学にとっても学生確保のいい手段だ。そのため、導入した大学が近年どんどん増えている。


 ベネッセコーポレーションの2005年の調査によると、2000年度では全国で59校の大学がAO入試を実施していたのに対して、2005年度ではその数は403校になった。その中の国立大学は2000年度の3校から2005年度の25校まで増えた。


 AO入試の倍率は、私立大学の場合、倍率1倍台以下、すなわちたとえば10人を募集定員としたところ、応募人数は10数名しかいない大学はAO実施校の49%と半分にもなる。言ってみれば応募すればほぼ受かるような入試だ。国立でも1倍台以下の大学は実施校全体の23%もある。


 これでは高校生の勉強意欲を下げかねない。こつこつ勉強して一般を受けるのが大変だから、楽な推薦やAOを受ける高校生がどんどん増えている。


 大学の新入生確保の思惑と受験生の受けるチャンスを増やしたい、受かりやすいところを受けたいという願望がうまく合致して、推薦AOの人気が高騰している。


 一方で、大学はこのような入試で入学させた学生に困っている。あきらかに一般入試で合格した学生との学力の差が生じ、結局コストをかけて再教育をしないといけない羽目になる。それでも学生の確保は存亡にかかわることだから、学生に対して強気に出れない大学が多い。


 ここ二三年大学が受験生に媚びるようになった。学校説明会を聞きにきた受験生の交通費出す大学、さらに受験料を免除する大学などといろいろある。お茶ノ水女子大学ほどの国立女子大トップ校でさえ今年から新入生全員にノートパソコンを貸し出すようになった。


 これでは大学入試の目的も意味も変わってくる。大学の存在意味まで変わってくる。大学は教育と研究をするところである。これくらいの最低限の機能ははたしてもらいたい。そして競争は教育や研究で勝負してほしい。


 おいしいものを作るはずのレストランが客にお箸をプレゼントしたって良くなりはしない。あくまでも味で客を集めないと将来はない。苦しくても料理の質をあげることに力を注いだほうがいいでしょう。



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