2005年12月8日木曜日

中国 VS 東南アジア VC インド

 世界の工場としての中国には強いライバルがいる。ベトナム、タイをはじめとする東南アジアとインドである。ここでベトナムを東南アジアの代表として、この三ヵ国を比較してみようと思う。
 この三ヵ国の性格をたとえてみると、中国は「商人」で、ベトナムは「労働者」で、インドは「エンジニア」である。この三カ国の共通の強みは人件費の低さで、多少の差があるが、日本からしてみたら人件費そのものの差は無視できるほどでしょう。そのほかの点で三ヵ国はそれぞれ強みと弱みを持っている。

 中国はこの三ヶ国の中で一番商売がうまいだろう。文化の中心として繁栄の頂点に達した唐の時代よりも前から、中国は周辺各国相手で商売をしてきた。そして、広い国内でも各地の商人たちが活躍してきた。今でもそれは変わらなくて、中国人は商売がうまい。そして、商売のことを最優先に考えいる。
 中国のとって人件費の安さやあくまでも今商売に使える一つの材料に過ぎなく、これがなくなったらまた他の材料を使って商売をする。だから中国は自国の人件費の上昇には基本的に抵抗がない。そして、商売の相手に対しても特にこだわりがない。日本が相手にしてくれなければ他の国を相手にするというスタンスで商売をやっていると思う。なので、人件費の上昇や、国民の対日感情による商売への影響(もしそのような影響があれば)、中国商人たちはそれをどうにかしようとは思わない。今までの経験より、きっと今の競争優位材料がなくなっても次の材料がすぐ見つかると自信を持っている。
 中国商人のこのような特徴は、各種の資源が豊富だからであろう。また次の商売材料がすぐ見つかるため、中国商人は短期的に利益を上げることを一番重視している。今使える資源を使って満足のできる利益を出せればいい。
 他の特徴として次の二つがある。まず中国商人はリスクを恐れない。高いリスクを負って高いリターンを追及する。そして適応能力がとても高い。どんな相手でも相手にできて商売ができる。
 ベトナムとインドについてはそれほど知らないが、今までいろんなメディアで少しずつ知ったことを材料に考えてみる。
 ベトナムは「労働者」だと言っているのは、今のところこの国には人件費の安さ以外にはほとんど強みはない。中国と比べて決して商売がうまいとはいえない。そして実際に商売をしてみたらそれほどいい相手でもないらしい。中国人の僕から見て、ベトナムは80年代の中国に似ている。国の政策は当時の中国同様改革開放を採用してあまり経っていない。中国が当時のソ連や東欧諸国の経験を勉強しているように中国の改革開放を勉強している。謙虚ではあるが勤勉だとはまだいえないかもしれない。
 経済開放して、発展の環境がそろってきているから、人材と資本さえあれば最初の発展としてかなりのスピードが実現できる。ただこれからも中国のように急速発展がもたらすいろんな問題にぶつかるだろう。でもその前にまずもっと商売を強くする必要性があると思う。何しろ最終的には中国との競争になるから。準備が整えるまでベトナムにはもう少し時間が必要だろう。そしてベトナム人は時間にかなりルーズらしいから、「タイム」はベトナムにとってのキーワードになると思う。
 インド、紛れもなく「エンジニア」である。おそらく世界中どこよりもすばらしいエンジニアであろう。たとえエンジニアとしてのレベルが同じ国があるとしても、人数的にはインドにはかなわないだろう。もうそろそろ人口が中国をも越えるのだから。人件費の安さと最高なエンジニアの頭脳で、競争力としては中国もベトナムも勝てないであろう。ただ、その商売力はどれだけあるかは問題かもしれない。中国と組んだら無敵コンビになるかもしれないが。
 インドの一番大きな問題はその社会である。長い歴史の中で出来上がってきた階級社会が変わることがなかなか難しい。その影響がまだまだ強く残っている。そして何よりその爆発的に増加し続ける人口だ。国土と食料が限られている以上そのような人口増加には無理があるのは誰でもわかること。それをインドでは何もできないのは致命傷であろう。中国が今直面している資源問題と環境問題はもうすぐインドの問題になり、そして中国よりも深刻になるであろう。エンジニア達がこのような問題をどうやって解決するかで、インドの将来が決まるであろう。中国ほどのリスクがなくても、社会問題環境問題による余計なコストがあるに違いない。
 「中国リスク」、「ベトナムタイムラグ」、「インドコスト」、経営者ならどれを選ぶだろう。


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3 件のコメント:

俺は さんのコメント...

俺はベトナムが好きだな。
工場としてのポジションだったら、商人じゃないほうがいいんじゃない?従順なベトナムの方が、一緒にやる方としてはやりやすい気がするな。
またベトナムには結構、親日な人が多いし、誠実なところが日本人の気質とあっていると思う。
それより、中国と日本のアジアにおけるポジショニングが気になる。
アメリカVS中国(+アジア)VSEU。今は確実にアメリカ優勢。いまんとこ残念なことに、日本はアジアの代表になるつもりないみたいだね。
日本人としては日本(+中国+アジア)が理想的なんだけどね。
そこらへん、どう思ってる?

Takurin さんのコメント...

 コメントありがとうございます。
 ベトナムはその労働者としての強みを生かせて成長して行くのは間違いないと思うが、今のところ日本からしてみてパートナーとするときの現実問題がまだあることを言いたかった。労働力を売りにしようとするが、それをサポートするのに必要なことを勉強、整備するのにもう少し時間がかかりそうだ。今すぐ中国の代役としての働きはまだできないようだ。これが「ベトナムタイムラグ」だとのこと。

Takurin さんのコメント...

 アメリカ VS EUの構造には、中国も日本も一国がリーダーとしては米、欧とは競争できない。やはり今のASEAN+日中韓の構造をさらに拡大し、関係をさらに密にしなければならないと思う。そのためには共通通貨に代表される経済の一体化が必須だと思うが、今のところその必要性があまり高くないため、中国も日本も東アジア統一通貨にはあまり興味ないようですね。