2005年12月7日水曜日

中国の若者は公務員になりたい

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  新華社のウェブサイトで若者が競って公務員になりたいという記事があった。記事によると、今年11月に実施された公務員試験では、受験者が36.5万人に上った。この数字は去年より47%増で、更にこの数字は5年前の2001年の3万人の10倍以上である。このような高人気のために、公務員試験の平均倍率は35倍で、一部の超人気ポジションの倍率は2000倍になっているという。
 なぜ中国の若者たちは公務員になりたくなってきたのか?



 理由は三つと思う。
 一つ目は短期的に、ここ数年全国の公務員給料はみんな上がったことである。実はここ数年、全国の平均収入が急速にあがったことによって、公務員の給料は決して高いほうではなくなってきた。それに対して、公務員の仕事の強度はあがり続けてきた。このことで、公務員たちのモチベーションが下がりつつあった。この状況を打開しようとして、中央政府も地方政府も公務員の給料増額を実施した。これが若者に、「公務員は安定しているだけではなく、給料もいいのだ」という印象を与えた。
 二つ目の理由は国の人材確保戦略である。外資系企業、私営企業が増えて、その収入が市民全体の平均収入よりもはるかに高くなったことで、多くの人材がこのような企業に流れている。政府が今までのように公務員として一流の人材を確保することが難しくなってきた。人材を再び公務員として働いてもらうため、国は公務員給料を上げるだけではなく、実力主義を採用し、若くても実力があれば重要な仕事が任せられるような環境を作りつつある。さらに海外からも人材を確保し、公務員内部の競争レベルをどんどん上げている。有能な若者にとって、公務員も非常にやりがいのある仕事になってきている。
 三つ目はやはり中国の市場の不安定性である。前には高給料を追求し、外資系企業や私営企業の人気が高かったが、最近になってそのリスクも認識され始めた。高い給料をもらっている割には、いつ首切られるかわからないのと、国有企業や公務員が受けている医療保障制度、住宅支援制度、そして企業が年金の一部を払ってくれる保証制度がないことに不安を感じている。さらに、市場そのもののリスクが企業の倒産リスクを高くしていて、それもまた若者の選択を左右している。
 この三つの理由が若者の公務員志向を高めている。この傾向はここ数年は続くだろうと見ている。
 
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