2005年11月19日土曜日

読書 生協の白石さん

 話題の本を読んだ。やはり面白かった。
 あとがきにも書いているように、この本はサービス業の人も読むべきビジネス書でもあると思う。
 白石さんがやっていることが顧客満足度を最優先した最高の接客だなと思った。効率上昇とトラブル防止などのためにやっているマニュアル接客ではなく、一種の近所のおばさんがやっている商店街の店の接客に似たようなものだ。要は店と顧客の間に見えない壁が存在しなく、同じ生活世界の中に客も、店も、店の人もいるとうことだ。本に載っている一言カードと白石さんの返答を読んでいくと、お客さんが買い物を終えても帰らずに、店のおばちゃんと楽しく世間話をする絵が浮かんでくる。



 店に行くことが生活の一部になることは普通によくあることだが、店のあの人が生活の中の一人になることがなかなかない。お客さんの一部にとって、店だけではなく、店のあの人も自分の生活に入っていたら、その店に対する満足度がうんと上がるはずだ。なぜなら満足度と言うのが心理的なもので、親近感があがることによって、満足度の点数をつけるとき甘くなるのが人間でしょう。
 今のビジネスの世界は効率を重視し、無駄なことを一切しないとなっている。でも、余計なサービスと思われるような部分こそ客にとっての満足度採点ポイントだと思う。つまり、適度の「余計なサービス」をすることが「差別化」である。
 「余計な」サービスをしても、その分のサービスは最終的に全部店にとってのプラスになるに違いない。白石さんが生協の売り上げをアップさせるために面白い返答を書いたり、悩み相談を受けたりしているわけではないだろうけど、学生にできるだけ満足してもらいたいからとは言えるだろう。これが最終的に生協の利用率アップにつながっているに違いない。また重要なのは、白石さんは決して学生のことに深入りせず、あくまでも一生協職員のできる範囲の中でのアドバイスである。「余計な」サービスは決して学生側から見ての余計ではない。この度合いの加減も白石さんのすごいところだと思う。
 今、本のあとがきにも書いてあるように、白石さんの一言カードへの返答は東京農工大を世間一般の人たちに知ってもらう効果までもたらした。そこまでの効果を期待しないが、ローソンやドトールのキャンパスない進出によって客数が減少している東大生協も、ある程度のサービス向上が必要ではないかと思う。

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