2005年8月27日土曜日

決断力 羽生善治


 を読んだ。
 最初はAmazonで見つけて、読みたくなった。おととい本屋さんで買って、昨日読み終わった。
 基本的には羽生さんが将棋のことを書いている。どういう風に考えて、どういう心で将棋をさしているのかを書いてある。勝負について、情報について、そしてメンタル面について書いてある。
 これを読んでいて、この本は現代の兵法だと感じた。一つ一つの勝負に挑む前、そのとき、その後、一人のリーダーがすべきすべてを書いてある。読んでいると孫子の兵法と通じるところがかなりあると感じた。そして、孫子の兵法よりも時代感を感じた(あたりまえだが)。
 一番現代の勝負と近いのは情報のあり方だ。今の社会では基本的に情報は公開されて、誰も簡単に同じ情報を手に入れることができる。これは将棋でも同じらしい。パソコンを使って将棋の研究をするようになってからは、今日対戦した棋譜は明日にもすでに研究されている。昔の棋譜も10年分ならインターネットで見れるらしい。しかし、これだけ情報が共有されている中でも、将棋の無限に近くある可能性の中で、どんなにレベルの高い棋士でもその可能性のほんのわずかの一部しか研究できない。時間や体力的な制限があるから、強くなるためには、選択と集中が必要だ。
 要はほぼすべての情報が公開されている中でも、自分が強くなるようなところを選んで、それのエキスパートになるということだ。これはまさにビジネスでの選択と集中と差別化だ。
 このような状況のなかでの戦い方を羽生さんがこの本を通して書いてある。どの部分もやはり勝負家としての心得である。将棋の本としても、戦略の本としても面白い本だ。



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