2005年12月28日水曜日

タイムズ 今年の最も影響力のある人

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 アメリカの『タイムズ』雑誌は今年の最も影響力のある人を選出し発表した。米ブッシュ大統領とチェニー副大統領、ライス国務長官がトップ3になっているのだが、中国からも二人が選ばれた。
 この二人がちょっと面白い組み合わせだった。一人は女優のチャン・ツィイで、もう一人は中国海洋石油(CNOOC)の会長の傳成玉氏(写真)だった。
 確かに中国人の中で今年世界的には(アメリカ的にはと言ったほうがいいと思うが)、もっとも影響力のある人だった。『SAYURI』を代表作として、彼女は世界レベルの映画を多数出演している。来年以降も彼女のこの勢いはとまることないだろう。
 それに対して中国海洋石油の傳成玉会長は、知らない人が多いだろう。



 実は中国海洋石油は今年、アメリカの石油会社のユノカル社の買収を仕掛けたのだ。日本でも今年M&Aや、企業買収などの言葉がヒルズ族によって流行ったように、国際的では実は企業のM&Aが頻繁に行われている。
 ちなみにM&Aは「Merger and Acquisition」の略称で、直訳すると「(企業の)合併・買収」という意味になる。買収は基本的には事業協力的で、友好的な買収もあれば、ただ経営権を握ることを目的とする敵対的な買収がある。ライブドアと楽天の買収は敵対的な買収と言われていた。
 中国海洋石油のユノカル社買収は、中国の石油大手の今年大規模に展開してきた外国石油企業の買収の一環だった。中国は石油の権益確保のために買収を展開している。この行動を、アメリカを始めとする多くの国に警戒されている。そしてこのユノカル社の買収は、中国海洋石油の提示価格は他の競争相手よりははるかに高いにもかかわらず、国家の戦略物資である石油に絡んでいるということで、政治問題となり、アメリカ国会に判断を委ねた。結果的には否決されて、買収が失敗に終わった。これは2005年米中の石油戦略のぶつかりの一つの象徴的な事件だった。これは傳会長が今回選ばれた理由であろう。
 中国もアメリカも市場調達以外の手段で石油権益を確保しようとしている。中国は外国企業の(高額)買収を手段としているが、アメリカは産油国の武力制圧を手段としている。これはブッシュさんが今回の一位に選ばれた理由でしょうか。


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