2005年11月23日水曜日

中国東北停水 その2

 昨日ハルビン市が水源汚染の可能性があるため飲用水供給を4日間停止したのに、その上流の事故あった吉林省には何の行動ものないのはおかしいと書いた。そして、今日になって、吉林省からの動きがあった。



 今日の午前中の新華社のウェブサイトのニュースによると、吉林省環境保全局が事故後初めて松花江のベンゼン類汚染物質の流入状況の観測データを発表した。その結果は今のところ国が定めた基準を満たしているということだった。さらに「吉林省は、全力をあげて今回の事故による飲用水の汚染の防止に取り組んでいる」と表明。
 夜になって同サイトで中国環境保護総局も松花江の汚染を認め、その常時観測は行われていると発表。さらに「重大な汚染事故」という言い方でことの重大さを改めて表明。吉林省の午前中の発表を無視した形だった。これは、国が吉林省以上に今回の事故を重視しているとの表明。
 中国によくある問題発生時にすばやく対応だった。ハルビン市の行動で吉林省内でも不安をもたらすかもしれないから、吉林省は急いで安心させるように手を打った。そして、それを見て、国も態度を表明し、吉林省のさらなる対策を要求するということ。
 おそらく吉林市にしてみたらハルビン市の行動は非常に迷惑だったに違いない。事故の影響がないように十分対策をとってあるにもかかわらず、ハルビンの行動で騒ぎになってしまっているのだと思っているだろう。しかし、市民側からしてみると、慎重なハルビン市は吉林省より評価を受けるだろう。国はやはり市民側の視点に立って態度を表明する。これも今の政府が一貫してきた態度でもある。
 中国の行政と市民の情報交換は実に足りていない。今回も吉林省は(十分な対策をやったかもしれないが、)市民への情報公示をしていないため騒動になってしまったと見る。また、ハルビン市の取った行動もまたパニックを引き起こすようなもので、これも事故から市民への十分な情報公示があればスムーズに回避できたはずだと思う。
 サービス政府と目指し始めて何年も経っている中国の行政もまだまだ努力しなければならない実例だった。

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