2009年5月20日水曜日

中曽根元総理講話@東大EMP

中曽根康弘元総理が東大エグゼクティブ・マネジメント・プログラムで行った講演の要録を読んだ。(http://www.emp.u-tokyo.ac.jp/news/2009/0314.html

実にわかりやすくて、勉強になる内容である。

日本政治についてのいくつかの部分を(意図的に)抜き出してみる。

「小泉政治の一つの大きな功績は、90年代から2000年にかけての日本の漂流を止め、5年間政権を安定させたことです。」

「国民は両方が弱気な情勢で、あえて積極的に選択するものではないという意識もあって、結局大連立という発想を知識人はある程度持っているので はないでしょうか。 それによって、 国論を統一し政策を統一して、 政治の運営、運行を、障害をなくしていくように行うことが賢明だという判断もあると思います。」

「日本の政治は非常に厳しい情勢にあります。今の日本の政局は弱く、何時どういうふうに崩れて第三党ができるか分からない情勢が出てくる可能性があります。そういう面から見て、日本の政治状況自体というものが非常に危機的な状況にあると私は依然思います。」

「いかにして民族的なエネルギーを引き起こす力を政治が作っていくかが党派を越えた課題になります。」

「今の政治家は、 二世、 三世になって来ますと、 そうした度胸もないし、 あれた魂もないです。我々は戦争から帰って来て、必死になって日本をどういうふうに再建するかと、命がけでそれをやって来ました。そういうことで日本の曙というか、体制ができた訳です。」

「今の政治家には国の政治を新しく二大政党制に持っていくような能力ある優れた政治家はいないと思う。人間的な度量と深みが今の政党の指導者たちには感じられない。」

個人的には以上の論点に基本的に賛成だが、政界再編こそが安定な政治状況を作り出す道だと思う。それで生まれる政党は「第三党」ではなく、次に (世界全体が)安定期に入るまでの新しい「第一党」である。今の状況では、エネルギーを分散させるのではなく、集中して内外の環境変化によってもたらされ る問題の解決に当たり、次の潮流の中のチャンスを見極めるべきであろう。

日本政治は人を育ててこなかったのか、それとも優秀な政治家が今の体制では力を発揮できないのか。おそらく後者なのではないでしょうか。

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